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ポジティブ心理学の諸概念を、アクセプタンス&コミットメントセラピーの理論体系に基づいて、行動論的観点から理解し、臨床心理学的問題への介入方法に関する知識を習得する。
本講読においては、ウェルビーイングの向上との関連が指摘されているポジティブ心理学の諸概念を、アクセプタンス&コミットメントセラピーの理論体系に基づいて行動論的観点から理解するための書籍を講読する。
ウェルビーイングは、個人の幸福度を反映する概念であり、ポジティブ心理学領域を中心に研究がなされている。 - 臨床心理学領域においても、2010年頃からウェルビーイングに関する実証研究への関心が一段と高まり、ウェルビーイングと関連する心理機能が病理の改善または予防に有効であることを示す知見が散見されるようになってきた。 - それらの心理機能は、行動論に基づく心理学的介入であるアクセプタンス&コミットメントセラピーにおいて操作的に定義され、ウェルビーイングの向上を促す行動変容の方略が体系化されている。 - これまでの臨床心理学の研究によって理解が進んだ人のネガティブな側面に関する知識に加えて、ポジティブな側面をマネジメントするための理論と方法を理解することは、臨床心理学の研究と実践の発展に役立つ。
Kashdan, T. B., & Ciarrochi, J. (Eds.). (2013). Mindfulness, acceptance, and positive psychology: The seven foundations of well-being. New Harbinger Publications.
講義 | 内容 | 該当ページ |
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1 | 前期ガイダンスと講読内容の概説 | |
2 | ポジティブ心理学とアクセプタンス&コミットメントセラピーの接点1 | pp1-pp9 |
3 | ポジティブ心理学とアクセプタンス&コミットメントセラピーの接点2 | pp10-pp25 |
4 | マインドフルネスと認知・感情システム1 | pp30-pp42 |
5 | マインドフルネスと認知・感情システム2 | pp42-pp49 |
6 | マインドフルネスと認知・感情システム3 | pp50-pp59 |
7 | 愛と人間らしさ | pp68-pp77 |
8 | セルフ・コンパッション (自己への慈しみ)とアクセプタンス&コミットメントセラピー1 | pp78-pp90 |
9 | セルフ・コンパッション (自己への慈しみ)とアクセプタンス&コミットメントセラピー2 | pp90-pp101 |
10 | 視点取得1 | pp107-pp115 |
11 | 視点取得2 | pp115-pp126 |
12 | コミットされた行為1 | pp127-pp139 |
13 | ポジティブな側面に焦点を当てた介入の概観1 | pp140-pp151 |
14 | ポジティブな側面に焦点を当てた介入の概観2 | pp151-pp161 |
15 | 前期の総括 | |
16 | 後期ガイダンスと講読内容の概説 | |
17 | ポジティブ心理学的介入: 関係フレーム理論による考察1 | |
18 | ポジティブ心理学的介入: 関係フレーム理論による考察2 | |
19 | 文脈を考慮したポジティブ心理学的介入1 | |
20 | 文脈を考慮したポジティブ心理学的介入2 | |
21 | 罪責感や恥の受容:道徳感情に対するポジティブなアプローチ1 | |
22 | 罪責感や恥の受容:道徳感情に対するポジティブなアプローチ2 | |
23 | コミットされた行為2 | |
24 | コミットされた行為3 | |
25 | 関係フレーム理論に基づく知能の発達1 | |
26 | 関係フレーム理論に基づく知能の発達2 | |
27 | 関係フレーム理論に基づく知能の発達3 | |
28 | ポジティブ心理学とアクセプタンス&コミットメントセラピーの対話1 | |
29 | ポジティブ心理学とアクセプタンス&コミットメントセラピーの対話2 | |
30 | 総括 |
- 各回の内容についての理解を前提とし、発表・プレゼンテーションの内容(70%)と議論・授業への貢献度(30%)の平常点で判定する。
- プレゼンテーションは,担当箇所の内容を全訳したものを読み上げるのではなく,内容の要点をまとめ, パワーポイント等で発表することとする。
- 発表者は, 講義参加者と講師分の発表資料を講義開始前に印刷しておく。
- 講読書籍の内容で不明な点は、日本語の参考文献等で可能な限り調べて発表すること。
- その上で分からない箇所、理解が難しい箇所については講師が解説する。
準備学習においては、教科書・参考書の各回の授業内容に該当する範囲を読み、授業での議論に備える。事後学習においては、授業でノートしたことを整理し、関連文献を読むなどして、理解の深化に努める。
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