特集第2号

認知行動療法研究の質向上:さらなる高みへ向けたアプローチの最前線


再現可能性問題

(国里愛彦・土屋政雄)

心理学では研究における再現性の低さが問題視されてきており,事前登録,データと解析コードの共有などの再現可能性を高めるための取り組みがなされてきている。認知行動療法研究においても再現可能性を高める取り組みを導入することにより,結果の再現性を高め,そのような知見をベースにした介入によって安定した効果の提供が可能になる。


シングルケースデザインの解析

(竹林由武)

単一事例実験デザインは,個人への特定の介入の効果を,個人内での反復測定データを活用し検討する研究デザインである。近年,単一事例実験デザインに適したデータ解析手法の開発が盛んであり,介入の効果判定やメタ分析の一助とした期待されている。


COnsensus-based Standards for the selection of health Measurement INstruments (COSMIN)

(佐藤秀樹・土屋政雄)

COSMINは,適切な健康関連尺度を選択するために,尺度の検討すべき事項について系統的に整理したチェックリストである。認知行動療法の効果評価に健康関連尺度を用いたり,新たに開発をすることがあるが,COSMINを用いることで明示的に尺度の選択を行ったり,新たに開発した尺度の評価を行うことができる。


認知行動療法へのアクセス改善におけるICTツールの活用

(横光健吾・高階光梨・山本哲也)

近年の情報通信技術(ICT)の発展は目覚ましく,様々なデバイスやアプリケーションを活用した臨床応用が試みられている。こうした技術は,認知行動療法をはじめとしたメンタルヘルスサービスへのアクセスを改善し,従来の対面式セラピーが有する様々な困難を軽減できる可能性があることから,ますますの発展と広がりが見込まれる。


サプリメント

掲載論文において,論文の内容を補足したり,読者の理解を深める上で有用なサプリメントを掲載する予定です。